『間違いだらけのソフトウェア・アーキテクチャ』を読んだ
間違いだらけのソフトウェア・アーキテクチャ―非機能要件の開発と評価 (Software Design plus)
- 作者: Tom Engelberg,長谷川裕一,土岐孝平
- 出版社/メーカー: 技術評論社
- 発売日: 2010/08/17
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
- 購入: 14人 クリック: 235回
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大企業相手にJavaEEのアーキテクトをやっているらしい人の書いた本。
アーキテクトである主人公(著者)が自著のセミナーを開いてアーキテクトの仕事について講演するという構成になっている。
セミナーに来ているお客さんが、プログラミングのわかっていないマネージャーや、調整ばかりしているSE、アジャイル教の教祖(w)、現場をしらないIT雑誌記者、といった戯画化された面々なのがだいぶ挑発的で面白い。
だって、本編始まって3ページ目くらいがこんなんだからね。
USの人の書いた本なのに、日本のドSIの現場でよく見る光景が広がっていて笑える。
内容的にはさすがに5年前の本なので古めです。
ウォーターフォールってのは間違っていて、フィードバックループを早く回さないとダメなんだよ、って言っているのに具体的なCIのプラクティスについては触れていなかったりします。アーキテクチャのROIを測るのに静的解析手法を用いる方法を紹介しているけど手動を前提にしてたり*1、若干の古さは感じざるを得ません。
ただ、品質特性シナリオを使ってアーキテクチャの設計のところは役に立つし、アーキテクチャの分析や評価に使える様々なメトリクスについての紹介は役に立つと思います。特に出来上がってしまったものを評価しないといけない時には。
派生開発*2についても触れていますが、Webサービスの開発だとこういうの当たり前だしなと思ったりもしました。
なんだけど、全体的に皮肉がきいていて、この業界が長いおじさんには面白く読める読み物になっていると思います。ページ数も170ページ程度と短いです。
息抜きにどうぞ。オチにはアット驚く*3人物が出てきます。
間違いだらけのソフトウェア・アーキテクチャ―非機能要件の開発と評価 (Software Design plus)
- 作者: Tom Engelberg,長谷川裕一,土岐孝平
- 出版社/メーカー: 技術評論社
- 発売日: 2010/08/17
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『天才たちの日課』を読んだ
天才たちの日課 クリエイティブな人々の必ずしもクリエイティブでない日々
- 作者: メイソン・カリー,金原瑞人,石田文子
- 出版社/メーカー: フィルムアート社
- 発売日: 2014/12/15
- メディア: 単行本
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小説家や画家、作曲家などを中心としたいわゆるクリエイティブな仕事をしている人たちの日常をまとめた本。
村上春樹やスティーブン・キング、ゴッホやピカソ、ショパンなどの日常が出てくる。
人によって昼型や夜型に分かれていたりするが、大抵の人があるルーチンを持っていて、毎日それを守っているようだ。
毎日測ったように3ページずつ書く人もいれば(例として上がっているのはやはり小説家が多い)、日によってばらばらで、5時間座って一行も書けない日もあったらしい、なんて記述を見るとなんだかホッとする。
軽く読める本です。
進化はテクノロジーを望んでいる
年末年始に『テクニウム』という変わった本を読んだ。
- 作者: ケヴィン・ケリー,服部桂
- 出版社/メーカー: みすず書房
- 発売日: 2014/06/20
- メディア: 単行本
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この本はWIREDの創刊編集長であるK・ケリーが書いたもので、テクノロジーの進化を生命の進化の延長線上にあるものとして捉えた本。生命の進化に"なぞらえる"のではなく、進化の延長線上であるとしたところがかなりユニーク。
テクノロジーそれ自体に進化の指向性があり、テクノロジーは人間が生み出したものだけれど、既に人間の手から離れてテクノロジーそれ自体を進化させるべく進化を続けているというニュアンスのことを指摘している。
こういったテクノロジーの自律的な進化や、テクノロジーもつ進化の指向性、といったものをテクニウムと読んで、生命の進化の延長線上にあることを説明し、その本質を見きわめようというチャレンジをしている本。
かなり面白いが内容はだいぶぶっ飛んでいる。細かいところの議論が雑で根拠薄弱かなと思ったが、一つの思想として面白いかもしれない。
彼は生命の進化の過程で知性が生まれたのも偶然ではなく必然であるとしていて、しかもそれは人間に限るものでもないと指摘している。
カラス、イルカ、ヒト、カリスマ的な知能は鳥、海の哺乳類、霊長類で3度別々に進化したからだ。生命の六界では知能が何度も進化しており、あまりにも度々発生するので知性は必然なのだという主張。
その知性が発展して様々なテクノロジーを生み出すのだが、これも必然性が強いという主張をしており、例として様々な発明(電話や電球など)が同時多発的に別々の場所別々の人間によって生み出されていることや、吹き矢のように、遠く離れた別々の文化圏から全く独立して発明されている*1という事実を持って、テクノロジーの進化にも指向性と必然性があり、一つの方向に収束した形で進化を続けているとする。
生命の進化の果てに知性の誕生があり、知性がテクノロジーを生み出し、テクノロジーはそれ自体を進化させていく。
彼はこれらの主張を生命科学、考古学、文化人類学、情報科学、経済学といったあらゆる知識と事実を元に説明してみせる。
非常に興味深い。
だが一方でちょっとオカルトっぽいというか、ニューエイジっぽいなあと思ったら、作者のK・ケリーは元々「ホール・アース・カタログ」*2の編集者でもあったというバリバリのニューエイジの人だった。。
まあでも、とても面白い本なので、読めば何かの刺激を受けることうけあいです。
生命の進化の後ろには指向性があり、知性の誕生は必然で、同じ発現が何度も現れる、なんてまるで神学の本を読んでるみたいだ、って思ったりもした。
- 作者: ケヴィン・ケリー,服部桂
- 出版社/メーカー: みすず書房
- 発売日: 2014/06/20
- メディア: 単行本
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2014年まとめ
これを書いてる時点で今年もあと1時間半です。
本業では現場復帰しました
2013年にDeNAに入社して以来、他社で言うDeveloper Advocate的なことをしていたんですが、今年の4月に入ってその職を離れてWebサービスの現場に復帰しました。
スクラムマスター的な立ち位置で色々やらせていただきました。
書籍を出しました
チーム開発実践入門 ~共同作業を円滑に行うツール・メソッド (WEB+DB PRESS plus)
- 作者: 池田尚史,藤倉和明,井上史彰
- 出版社/メーカー: 技術評論社
- 発売日: 2014/04/16
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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2年ほどかかっていた書籍をついに出しました。
『チーム開発実践入門』という本を書きました - ikeike443のブログ
おかげさまで増刷しました! ありがとうございます!
増刷しました 『チーム開発実践入門』 - ikeike443のブログ
『チーム開発実践入門』増刷しました! 3刷です! - ikeike443のブログ
電子書籍も出ました!
『チーム開発実践入門』も電子書籍になるよ - ikeike443のブログ
韓国語版も出ました! ちなみに来年は中国語版が出る予定です。
良かったら下記にも投票してね!
「ITエンジニアに読んでほしい!技術書・ビジネス書 大賞(ITエンジニア本大賞)」 - ikeike443のブログ
レビューもしたよ
洋書だけどレビューにも関わりました。日本語書籍もレビューしてみたい。。。誰かオファーください。。
レビュアーとして関わった "Jenkins Continuous Integration Cookbook"が来年1月に出ます - ikeike443のブログ
登壇もしました
少しだけどお呼ばれしてお話させていただきました。呼んでくださった方々、本当にありがとうございます。今後もよろしくお願いします。
デブサミ
相澤さんにお声がけいただきました! 初デブサミ!
デベロッパーサミット2014 OSSコミッタ大集合に登壇してきました - ikeike443のブログ
デブサミは前職でイベント管理の支援という形で関わっていたんですが、出る側になるとは思いませんでした。
DevLOVE
市谷さんにお声がけいただきました!
#DevLOVE でお話させて頂きました - ikeike443のブログ
上記についてはgihyo.jpにもレポートしていただきました。
池田尚史氏に聞くチーム開発の極意 ~「進め,現場のチーム開発 ~チーム開発実践入門」レポート:レポート|gihyo.jp … 技術評論社
その時のスライドは下記です。
DevLOVE関西
はてな本社に呼んでいただきました。初はてな!
#DevLOVE 関西でお話させていただきました - ikeike443のブログ
その時のスライドは下記です。
来年に向けて
来年も何かしらアウトプットをしようと思っています。
『チーム開発実践入門』増刷しました! 3刷です!
あざす!
皆さんのおかげです!
1年経たずに3刷はどうなんでしょう。早い方なんでしょうか?
ちなみに電子書籍も販売開始しました。
チーム開発実践入門──共同作業を円滑に行うツール・メソッド | Gihyo Digital Publishing
レビュアーとして関わった "Jenkins Continuous Integration Cookbook"が来年1月に出ます
下記の本をレビューしました。2012年に出た本のアップデート版です。
Jenkins Continuous Integration Cookbook - Second Edition | Packt
ちなみにレビュアーとしては2冊目です。なぜかまた洋書という。。英語喋れないのに英語の本レビューしている俺氏。日本の技術者に友だちがいない俺氏。。
ちなみに1冊めのレビューは下記でした。
レビュアーとして参加したPlay Frameworkのスターターガイド(洋書)が出ました - ikeike443のブログ
内容的には、Jenkinsのレシピ集で、どちらかと言うと大規模なエンタープライズ案件においてどう設定して運用するかみたいな話が多いです。
目次的には下記のイメージ(のはず)。
- Integrate Jenkins with LDAP and SSO solutions
- Maintain and secure Jenkins
- Run an integration server firing automatic functional and performance tests
- Communicate through social media and by plotting custom data
- Skin Jenkins to your corporate look and feel
- Refine the use of code metrics to improve quality
- Write your first custom Jenkins plug-in
- Apply tweaks to optimize your use of Jenkins
まだ製本されたものをもらってないのでアレなんですが、若干内容的に古めの部分がありましたが、レビューで指摘したので最新版にアップデートされて来るのではないでしょうか。
英語が読めて、Jenkinsのレシピを色々読んで参考にしたいという人には、悪くない選択肢じゃないでしょうか。
日本語技術書のレビューを一度はやってみたいです。。誰かオファーしてください。。
『チーム開発実践入門』も電子書籍になるよ
12月10日発売だそうです。買ってね!
チーム開発実践入門 ~共同作業を円滑に行うツール・メソッド (WEB+DB PRESS plus)
- 作者: 池田尚史,藤倉和明,井上史彰
- 出版社/メーカー: 技術評論社
- 発売日: 2014/04/16
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
- この商品を含むブログ (7件) を見る